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重修本草綱目啓蒙
七/山草
三七 一名血見愁〈医便同名同じ〉二種あり、集解初に説ところのものは広州の産にして、他の寒地には無し、故に其苗状お詳に著さず、即物理小識に言ふところ、広西四種〈錦地羅、三七、猪腰子、山羊血、〉妙薬の一也、和産未だ詳ならず、此根昔年舶来あり、今薬舗に持伝ふるもの希にあり、皆陳久にして蛀損多し、その形甚だ節参(ふしにんじん)に似たり、長さ一二寸、粗あり細あり、皆味甘苦、時珍説ところ如老乾地黄有節、味微甘而苦、頗似人参之味と雲ふ文に符す、その中希に直根なるものあり、円根なるものあり、その直根なるものは、今渡るところの広東人参に少し異なれども、止血の効同じ、その広東人参の蘆頭に節ありて、甚節参に似て細し、薬舗に広東の蘆頭と雲、即古渡三七の細き者と形状異ならず、又古渡三七の中形粗なるものあり、是即竹節三七なり、唐山には直根に附たる蘆頭に非ずして、別に一種竹節なるものもあり、本経逢原に広産形如人参者、是有節者非と雲、時珍は有節とのみ言て直根のことお言はず、是竹節三七なり、集解の末に、近伝一種草と雲以下は、今世上に伝へ栽へ、俗にも三七と呼ぶ草なり、雲州にてはちどめと呼び、肥前にてはおらんだぐさと呼ぶ、此草慶長年中に始めて種お移し来ると雲、今は民家に甚多し、形状小薊(あざみ)に似て刺なし、春初出の葉は深紫色なり、長ずれば面緑色背紫色、秋に至り茎高さ五六尺、梢間に枝お分ち花お開く、形小薊花に似て黄色亦刺なし、その根年お経て枯れず、最繁衍しやすし、血お治するの効広三七に同じ、故に条お同じくするなり、