[p.0785]
源氏物語
三十/藤袴
例よりもしめりたる御気色、いとらうたげにおかし、かヽるついでにとや思ひよりけん、らにの花(○○○○)のいと面白きおも給へりけるお、みすのつまよりさし入て、是も御らんずべきゆへは有けりとて、とみにもゆるさでもたまへれば、うつたへに思ひもよらでとり給、御袖おひきうごかしたり、おなじ野の露にやつるヽふぢばかまあはれはかけよかごとばかりも