[p.0785]
重修本草綱目啓蒙
九/芳草
蘭草〈◯中略〉山蘭あり、山野に生ず、葉は長くして岐なく、桃葉に似て鋸歯深し、又三尖になりて蘭草葉の如きもあり、みな両対して生じ、茎に斑あり、葉と倶に毛茸ありて香気少し、此おひよどりばな(○○○○○○)と呼ぶ、花に白色淡紫色の二品あり、薬に蘭葉お用ゆるは、此蘭草の葉にして、蘭花の葉に非ざること、正誤に詳に弁ず、然るに綱目以後の書、本草必読、本草原始、その余諸書に猶誤りて蘭花の葉とする説多し、〈◯中略〉増、山蘭に一種葉に黄白色の斑点多きものあり、この茎葉お煎じて、蝮蛇の咬たるお洗て奇効あり、野人の経験なり、阿州山城谷にてはみぐさと雲ふ、