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倭訓栞
前編十/佐
さいぐさ 日本紀に福草と書る本義成べし、さきくさともいへり、諸書に三枝およめるは、義訓せしなり、延喜式に、朱草の別名とし、瑞草也といへり、〈◯中略〉倭名抄に薺苨さきくさ、一に雲みのはと見えたり、みのはヽはつはに同じ、呂氏春秋にも、三葉薺と見ゆ、〈◯中略〉万葉集抄に、檜は宮木などにも、撰み用いられて、さいはふ木なれば、さきくさといふよし見えたり、古今集の序に、殿づくりより謬り伝へたる説なるべし、顕昭説に、三枝はからすあふぎ也、彼草末葉広ければ、祝ひによすといへるも、いかヾと覚侍る、