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古今要覧稿
草木
芝 〈れいし〉霊芝は王者の徳草木に至れば生ず、〈孝経援神契〉王者の徳山に至れば生ず、〈白虎通〉などいひて、種類数多あり、五色芝は仙薬にて、これお服すれば、不老延年なりといふ、〈証類本草〉さればこそ瑞草なりといへり、日本紀にはこれお食して、命長きことお記され、延喜式には祥瑞の部に収られたり、弘賢曰、服せざれば瑞草も、いたづらに玩物のみ、今世間多く生ずるは、いづれも紫芝なり、或は樹根に生じ、或は石間に生ず、其樹は西土にては李樹に生じ、〈唐春秋〉又椿樹に生ず、〈清異録〉今みる所おほくは松梅樅楢等に生ず、猶いづれの樹にも生ずべきにや、方士は木お積て薬お伝れば、五色芝お生ずといひ、〈本草綱目〉道家にて糯米飯おつきたヽらし、雄黄鹿頭血おつヽみかはかし、冬至日土中に埋おけば、おのづから霊芝お生ずといへり、今も樹のきり株に、米泔水お度々そヽげば霊芝お生ず、櫟の木椿木と〈秘伝花鏡〉いへり、かく人作にて生ずるほどならば、瑞物ともいひがたきか、明の李時珍は、此類は腐朽の余気にて生ずれば、人の瘤のごとし、瑞草となして服すれば、仙となるなどいふは、誠にあやまりなりといひて、酉陽雑俎の家の柱に芝お生ずるは凶事なりといふことさへ引り、さて霊芝は虫はみやすし、虫おさくるには飯の湯気によく蒸しよく乾かせば、損ぜずといへり、〈画譜〉又はやく採ば、むしはまずといへり、釈名かどいてだけ〈丹波◯中略〉 まごしやくし〈奥州、以上紫芝、本草啓蒙、〉 〓〈爾雅、説文に〓字なし、恐は菌の誤歟、〉 芝〈同上〉 芝草〈日本書〓、本草綱目引瑞応図、〉 科名草〈格致鏡原引清異録〉 菌惷〈群芳譜〉 不死草〈事物異名〉 三秀〈同上〉 頳茎〈事物紺珠〉 金堂 玉堂 亀藉〈共同上〉 霊芝草〈訓蒙字会〉 霊芝〈本草原始〉 青芝〈神農本経〉 竜芝〈弘景別録、青芝一名、〉 赤芝〈本経〉 〓芝〈同上、赤芝一名、〉 黄芝〈本経〉 金芝〈同上、董芝一名、〉 白芝〈本経〉 玉芝〈同上〉 素芝〈共に白芝一名〉 黒芝〈本経〉 玄芝〈同上、黒芝一名、〉 紫芝〈本経〉 木芝〈同上〉 紫達〈通雅〉 紫脱〈同上〉 紫霊芝〈本草原始〉 霊芝〈秘伝花鏡、共に紫芝一名、〉 石芝 木芝〈抱朴子、恐は紫芝と同物、〉 肉芝 菌芝 木威喜芝 飛節芝、木渠芝 黄蘖芝 建木芝 参成芝 樊桃芝 千歳芝 独揺芝 牛角芝 竜仙芝 紫珠芝 白符芝〈恐は白芝と同物〉 朱草芝〈恐は赤芝と同物〉 九曲〈赤芝一名、本草和名引兼名苑、〉 五徳芝 玉暗芝 七孔九光芝〈一名蛍火芝〉 石蜜芝 桂芝 石脳芝 鳳凰芝〈引採芝図〉 燕胎芝 黒雲芝〈同上〉 五色竜芝 五方芝 天芝 地芝 人芝 山芝 土芝 金芝 地節〈金芝一名、本草和名引太清経、恐は董芝と同物、〉 火芝 雷芝 甘露芝 青雲芝 雲気芝 白虎芝 車馬芝 太一芝〈以上本草綱目引葛洪抱朴子〉