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大和本草
九/菌
松蕈〈◯中略〉 今按松蕈九十月に生ず、味最よし、木〓の中第一也といへる事まことに然り、山州の産猶よし、甚多し、牝松にあらざれば生ぜずと雲、西国には牡松多き故、松蕈少く茯苓多し、京畿には牝松多くして、松蕈多く茯苓少しと雲、松蕈採て久しきは毒あり、新おえらび食ふべし、味苦は毒あり不可食、五六月に生ずるおさまつたけと雲味劣る、松だけの茎の根、土お帯たるおきりて乾し貯へおくべし、産後児枕痛(あとはら)に一匁煎服す甚験あり、又よく久痢お止む、或曰松蕈お食して酔ふ人あり、先豆腐お食して後松蕈お食へばよはず、瀉痢久不止、痘瘡不出、産後血気虚脱するもの、乾松蕈お煮て食し、煎じてのむ甚有効、滋補の性あり、