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重修本草綱目啓蒙
二十/芝栭
香蕈〈◯中略〉松蕈まつだけ、一名松耳、〈東医宝鑑〉松花菌、〈本経逢原〉鎕蕈、〈呉蕈譜〉八九月に生ず、〈◯中略〉京師は〓波より出す者、最早けれども味劣れり下品なり、蓋の色黒お帯ぶ、深草稲荷山の産は甚大にして味優れり、蓋厚く白色にして堅し、上品なり、粟田の産も亦同じ、山科及上賀茂の産は、蓋厚く堅くして黒色お帯ぶ、嵯峨の産は蓋薄し、此地に四品あり、上品お臥釈迦と雲、茎極て粗大、地中に蟠屈して横斜に突出す、色潔白香気多く、味脆く美なり、次おうづらだけと雲、松皮の鱗甲の如く、蓋上処処突起して周辺白く欠刻あり、皮に斑ありて鶉羽に似たり、次おとらふと雲、白褐赤の横紋相雑る、次は尋常の品なり、西賀茂の産は嵯峨と同くして柔なり、松尾の産は色赤お帯て厚く堅し、