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庖厨備用倭名本草
五/芝〓
葛花菜 倭名抄に葛花菜なし、多識篇にくずたけ、考本草、一名葛花乳、名山に皆あり、葛の精華也と雲ふ、秋霜空にうかびて芝蕈の如く地上に生ず、其色赤くしてもろし、蕈の類なり、元升〈◯向井〉曰、此説おみれば、北国にいへる霜こし(○○○)なるべし、寛文七年十月初旬、余たまたま北国金沢に客たりし時、此しもこしお食す、目なれぬたけなれば、其名お問に答て雲、此たけは霜こしと雲、山野に霜の後に生ずる故に、かく名付られて候と、色味本草の説と稍同じ、其毒なしといへるもしるしお得たり、風味なめすヽきの如し、