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重修本草綱目啓蒙
十六/苔
馬勃 おにふすべ(○○○○○)〈古名〉 やぶだま(○○○○) やぶたまご(○○○○○) いしわた(○○○○) いしのわた(○○○○○)〈予州〉 むまのくそだけ(○○○○○○○) むまのほこりだけ(○○○○○○○○) ほこりだち(○○○○○)〈大和本草〉 ほこりだけ(○○○○○) ぢほこり(○○○○)〈佐渡〉 みヽつぶれ(○○○○○) みヽつぶし(○○○○○)〈讃州〉 つんぼだけ(○○○○○) きつねのはいぶくろ(○○○○○○○○○)〈若州〉 めつぶし(○○○○) きつねのちやぶくろ(○○○○○○○○○)〈和州〉 ちとめ(○○○) きつねのひきちや(○○○○○○○○)〈勢州〉 きつねび(○○○○)〈南部〉 きつねのはいだはら(○○○○○○○○○)〈越前〉 かざぶくろ(○○○○○)〈奥州〉 ほうほうだけ(○○○○○○)〈備前〉 かはそのへ(○○○○○)〈江州〉 かぜのこ(○○○○)〈同上〉 一名馬屁勃〈附方〉 馬比菌〈医学〓函〉 馬包〈旅府禁方〉 灰包〈同上〉 馬胞〈本草選〉 馬天乙〓〈採取月令村家方に、天お夫に作る、〉五六月路傍の陰地、或は林中忽然として土上に生ず、根なく紫褐色、初は小円にして馬矢(むまのくそ)の如し、不日に大塊となり、毬の如く西瓜の如し、これお挙れば甚軽虚なり、これお破れば綿の如き者多く重れり、これお弾ずれば粉多く出づ、一種きつねのちやぶくろ(○○○○○○○○○)と呼者あり、一名つちがき、つちぐり、やまがき〈阿州〉、ぢがき〈土州〉、つちふぐりのおば〈大和〉、めつぶし〈江州〉、山の土上に生ず、初は円にして〓く、淡黒褐色、日お経て皮開き、七八弁に分れて地に就き、上に小円袋ありて柿の形の如し、これお破れば内に細粉多し、又馬勃の一種なり、