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閑窻自語
詠〓狩於和歌事寛延二年九月月次和歌御会に、故殿〈◯柳原光綱〉秋山といふ事およみ給ひける、 あかず猶〓狩りくらしかへるさにこのみおひろふ秋の山ぶみ、桜町院〈于時上皇〉仰せられけるは、内々の和歌には、この後よみ入れてもくるしかるまじくとぞ、それよりこのかたたけがりのことおおほやけわたくしのうたにも、人々よみ侍るなり、又この事おあんずるに、ふるき事にて、古今集にも、北山に僧正遍昭とたけがりに、素性法師のまかられける事見えたり、〈後西院天和三年八月、秋の山といへる事およませ給ひける、またもこんけふはもみぢお松がねにたけかりくらす秋の山ぶみ、〉