[p.0844][p.0845]
東雅
十五/草卉
苔こけ 倭名抄に、陸詞切韻お引て、苔はこけ水衣也と註せり、此にこけといふもの、水衣おのみいふにもあらず、旧事紀に、八岐大蛇の事おしるされしに、其身生蘿と見えて、古事記に見えし所も亦同じく、並に読てこけといふ、〈万葉集に蘿読む事亦同じ、倭名抄にも松蘿読てまつのこけといふ事前に註す、〉今も俗に蛇また魚の鱗おこけといふ也、此語その苔の如くなるによりて雲ひしにや、また苔おこけといふ事は、鱗に似たるに因りてかく雲ひしにや其詳なる事は知るべからず、