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重修本草綱目啓蒙
二十六/寓木
松蘿 まつのこけ(○○○○○)〈和名抄〉 さるおがせ(○○○○○)〈同上〉 さるのおがせ(○○○○○○)〈阿州〉 やまうばのおくず(○○○○○○○○)〈同上〉 やまうばのおがせ(○○○○○○○○)〈伯州〉 さるがせ(○○○○)〈南部〉 きりさるかせ(○○○○○○)〈駿州富士〉 くものはな(○○○○○)〈日光〉 きひげ(○○○)〈〓州〉 はなごけ(○○○○)〈泉州〉 きつねのもとゆひ(○○○○○○○○) 一名松上藤〈薬性奇方〉 蓎蒙〈正字通〉 象主〈名物法言〉 榼蘿〈事物紺珠〉 藤蘿〈秘伝花鏡〉松皮に附て生ず、然れども松に限らず、深山にては諸木共にあり、又〓木(あせぼ)躑躅等の小木にもあり、京師の者は短小にして僅に二三寸、形細円にして糸の如し、木皮に生ずる処は、一筋にしてふとし、末に枝多く分れ、下垂してふさの如し、白色にして微緑お帯ぶ、ふとき処お採りしごけば、皮細かに砕て、離れず、内に強き心ある故、数珠の形の如し、故に俗に弘法の数珠の変化と雲、和州芳野高野山、野州日光山殊に多し、長さ三五尺にして至てふとし、雨中には自ら切れて落つ、