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重修本草綱目啓蒙
十九/柔滑
蕨 やまねぐさ(○○○○○)〈古歌〉 ほどろ(○○○)〈同上〉 わらび(○○○) しどけ(○○○)〈土州〉 よめのさい(○○○○○)〈勢州◯中略〉春宿根より葉お生ず、初は巻曲して拳の如し、これおさわらびと雲ひ、かきわらびと雲ふ、採り煮て食用とす、或は奄し或は乾す、乾す者は奥州三越信濃東北国の産お良とす、形肥大にして柔軟なり、葉長ずれば茎の長さ三四尺、老茎お用て箸とす、凡一根数茎お生ず、冬に至て苗枯る、山人根お掘り製して粉とす、これ蕨粉〈授時通考〉なり、一名山粉、〈温州府志〉烏〓、〈通雅〉俗名わらびのこ、古歌にむらさきのちりと雲、一名かねのこ、〈備前、作州、〉ねはなのこ〈羽州〉これお糕となし食ふ、わらびもちと雲、南部にてねもちと雲、物理小識に謂ゆる黒腐なし、已に粉お採りたる〓筋お乾して縄となすお、わらびなはと雲、色黒くして能く水に耐ゆ、