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重修本草綱目啓蒙
十三下/毒草
格注草 詳ならずしだに充るは穏ならず、しだは大小二種あり、単にしだと雲時は、おほしだ(○○○○)にして、ほなが(○○○)一名うらじろ(○○○○)と雲、歳首に檐に掛る者これなり、又名やまくさ、〈讃州〉すだ、〈筑後〉もろむき、〈筑前〉むろむき、〈肥前〉もろもき、〈雲州〉やまのくさ、〈播州〉へご、〈薩州、今は琉球より来る、秒欏お訛てへごと呼ぶ、〉別に一種小しだ(○○○)と雲草は形小し、松耳の下しきにし、又立花に用ゆるものこれなり、これお長崎にては小へごと雲、京にてこしだと雲、増、一種くものすしだ(○○○○○○)と雲ものあり、深山幽谷巌石間に生ず、その葉冬お経て枯れず、春より夏に至て、漸漸嫩葉お生ず、葉の形金星草に似て嬌嫩なり、葉背に金星お生ず、これ其花なり、葉の末細長くして糸の如し、夏月葉の末に小塊お結び垂れて、地に著て根お下して苗お生ず、江州八日市より勢州桑名へ通行する、八風越と雲処に多し、草木性譜に図するところこれなり、一種たましだ(○○○○)と雲ふものあり、葉の形あおねかづら一名さるのしようがの葉に能く似たり、その根に正円の塊あり、形半夏の如し、夏月別に葉蒂の本より細糸お生じて嫩芽お別ち生ず、冬お経て枯れず、然れども甚だ寒気お恐る、又ふぢしだ(○○○○)と雲ふものあり、鉄脚鳳尾草の類なり、形ち相似て茎長く小葉繁密す、又葉の疏なるものもあり、形状一ならず、これも夏月葉の末に小塊お結び、地に著て苗お生ず、冬お経て枯れず、