[p.0883]
古事記伝
十四
和名抄には爾木米(にぎめ)と阿良米(あらめ)とお出して、別に和加米と雲おば出さず、又名も和加米(わかめ)に爾岐米(にぎめ)とは、一の如く思はるれども、延喜式に、海藻(にぎめ)、稚海藻(わかめ)、滑海藻(あらめ)、又和布(わかめ)、海藻(にぎめ)、荒布(あらめ)と、三お並べて挙たる所々あれば別なり、かくて式の和布は〈海藻(にぎめ)と分てれば〉和加米(わかめ)なるに、和名抄には、海藻(にぎめ)お俗に和布と書よしあるお以思へば、総ては爾岐米(にぎめ)と雲お、其中にて細に柔なるお分て、別に和加米(わかめ)とも雲へるにや、〈◯中略〉海藻は米(め)の総名なるに、此字お又爾岐米(にぎめ)に用たるお思へば、種々の米(め)の中に爾岐米(にぎめ)お主とするにや、〈◯下略〉