[p.0887]
古今著聞集
八/好色
蔵人しのびやかに、此女房参り侍よし奏し申ければ、うれしく思しめされて、やがてめされにけり、〈◯中略〉彼少将は隠去なりけるお、あらぬかたにつけてめし出されて、よろづに御情おかけられて、近習の人数にくはへられなどして、程なく中将になされにけり、つヽむとすれど、おのづから世にもれ聞へて、人の口のさがなさは、其比のことわざには、なるとの中将とぞ申ける、なるとのわかめとて、よきめののぼる所なれば、かヽる異名お付たりけるとかや、