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八幡宮本紀

長門国豊浦郡住吉に坐荒御魂神社、〈◯中略〉十二月晦日の夜は、稚海藻刈(めかり)とて、神秘の神事あり、これは晦日の夜半ばかりに、此御社の下神人、豊前国波夜止毛の沖に出る、はやともよりも又神人出向ふ、此時潮はるかに退て、双方の神人遥々海底にいたるゆえ、互に松明の光も見え、〓も聞ゆる程にて、ともに稚海藻おかり取、〈◯註略〉これお元日の朝御供にそなふ、〈波夜止毛にても同事となり、此礼今にたえず、いにしへは其刈取たる稚海藻お、禁裏にも献ぜしとかや、〉