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庖厨備用倭名本草
四/水菜
乾苔(かんたい/あおのり) 倭名抄に乾苔なし、多識篇にあおのり、考本草此れ海苔也、彼の人とりかはかして脯となす、海水はしはヽゆし、故に陟釐と同じからず、張華博物志雲、石髪海中に生ずるは、長さ尺余、大小韭葉の如し、肉お以てあつめ、むして食して極てよし、元升〈◯向井〉曰、此註おみれば勢州より出るあおのりは、其味しははゆし、乾苔なる事うたがひなし、其形状は陟釐と同じきにや、陟釐は水中に生じ、乾苔は海水に生ず、又乾苔は味しはヽゆし、性寒なり、陟釐は味甘く大温なり、性味各別なり、されば陟釐はあまのりと雲べきものなり、又西国海中にあおさと雲苔あり、色味乾苔と同じ、但長さは三四寸には過ず、魚肉と羹にして甚だよし、乾苔のたぐひなるべし、