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重修本草綱目啓蒙
十六/水草
石帆 うみひば(○○○○) 一名海松〈中山伝信録〉 礒松〈同上〉 鉄樹〈広東新語、同名多し、〉 〓樹〈同上〉海底の石上に生ず、大なる者は高さ四五尺、小なる者は数寸、枝叉甚だ多くして網羅の如し、皆左右に枝出て扁く、帆の形の如く、又仏の後光の如し、紅黄紫白青黒褐の数色あり、小なる者は海辺に於て拾ひ得、或は漁人の網に掛る、用て盆供とす、その紅なるものは、外は柔にして赤土お塗が如し、外の柔なるお削り去る時は、骨甚〓く石の如し、赤色にして縦道ありて、珊瑚に異ならず、然れども枝ごとに自ら断て椏おなさず、長さ三四分許、これお珊瑚砂と雲、又海浜にて拾ひ得る者あり、其黄色なる者も又然り、他色の者は骨軟にして珊瑚の状おなさず、一種うみまつ(○○○○)あり、又海中石上に生ず、枝少く扁ならず、黒沢にして甚〓し、枝の梢希に葉あり、杉葉の如にして極て細く長し、播州にてきがねと雲、鎌倉にてやぎと雲ふ、漢名鉄樹、〈通雅〉一名黒珊瑚、〈物理小識〉海苔樹、〈広東新語〉一種うみすぎ(○○○○)は枝多く葉繁し、杉葉に似て細小浅黒褐色なり、此外海産樹形なる者甚だ多し、