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源平盛衰記
三十五
高綱渡【K二】宇治河【K一】事高綱は窮竟の逸物に乗たれば宇治河はやしといへ共、淵瀬お不【Kれ】雲、さヾめかしてかね(○○)に渡し、向の岸近く成て、高綱が馬綱に懸て、足おさと歩除くれば、大刀お抜、大綱小綱三筋さと切流、向ひの岸へ打上、〈○中略〉武蔵国住人男衾畠山庄司重能が子息重忠は、〈○中略〉渡せ殿原々々、〈○中略〉馬にも人にも力お副へよ、金(かね)に渡して誤すな、