[p.0022][p.0023]
法規分類大全
一篇政体
尺度種類廃置の議享保尺古の小尺にして、今の所【Kれ】謂曲尺なり、然して今の所【Kれ】謂曲尺は、中世以降、器法訛替し、長短一ならず、於【Kれ】是乎旧幕府徳川吉宗、博く之お書籍に尋ね、古今尺度の由来お考ふ、援に古尺あり、紀伊国熊野神庫に蔵す、乃ち出して之お摸造し、以て原尺と定む、実に是享保年中なり、此尺爾後紅葉山宝庫に於て火災に罹り、今は則ち亡し、先【Kれ】是書籍奉行近藤正斎、嘗て之お摸造し、内田五観に与ふと雲ふ、五観之お蔵する久しく、今現に存せり、此尺や古の小尺たること明かにして、今の所【Kれ】謂曲尺の原なり、此度法、享保年中始て世に明らかなるが故に、爾後此度お享保尺と称す、然して其坊間散布のものに至ては、其称均しく享保尺と雖ども、長短差等なき能はず、今其由来傅説、最も正しきものに就き、内田五観所蔵の尺お以て、此度の正器とす、又四郎尺中古尺工又四郎なるものあり、多く木匠矩尺お造るといふ、近世又四郎尺と称する者、其度法は蓋し此より出るなり、然して木匠矩尺は、所【Kれ】謂曲尺といへども、これお享保尺正器に比すれば一尺四厘なり、享保尺正器は、これまた所【Kれ】謂曲尺にして、其長短一ならざるは、蓋し中世以降、尺度器法、或は伸長し、或は縮小して、遂に其種類称呼お異にするに至るなり、然して此尺の如きは、其器法縮小に失するものなり、然りと雖ども、此尺近世真の曲尺と並び行はる主が故に、乃ちこれお一種の器法とし、今その比較の如く、享保尺正器一千○○四分の一千お以て此度の正器とす、折衷尺 往昔寛政享和の際、測量家伊能勘解由、享保尺と、又四郎尺とお、長短折衷して此度お造り、以て度地に用ふと雲ふ、蓋し中世以降、尺度器法、漸々訛替し、種類紛雑、濫製百出するに至るに及て、真偽弁じがたく、正否分くるに由なし、於【Kれ】是乎長短折衷、以て一時の便に供す、亦是不【Kれ】得【Kれ】止に出るの度なり、然して此尺、長と短との間にあるが故に、近世尺度器法の伸縮するもの、坊間散布の器の如きは、之と相密合するもの居多なり、斗量の如きは、其製作、従来容量お以て準とするが故に、所用尺度は、頗る杜撰に属すると雖ども、今之お検査するに、従来斗量の容量は、此尺お以て造る幾んど密とす、今其長短折衷の算により、又四郎尺正器一尺二厘お以て、此度の正器とす、