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水戸本北条五代記
関東にて、升に大小あり、伊豆相模には、はい原升(○○○○)とて、京升に少大なる升おつ かふ、武蔵よりひがしの国は、大升とて、升のすみに手かけおつけ、一俵に三升入、五升入、一斗入の升あり、国々在々所々にて升かはる、然所に氏康時氏に至て、関八州の升、一升にあらためらるべき旨ふれらるヽ所に、百姓共、先規のごとくさしおかるべき趣、訴訟申に付て相止らる、武蔵上総は、大かたはい原升也、件の升、北条氏直時代まで、安藤豊前守と雲者作り出す、故に安藤升共名付、伊北弥五右衛門と雲者、安藤升の大小お作る、其科に依て、天正十二年十月、小田原蘆子河原に、はたものにかけられたり、