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地方新書
一種薬舗にて、大和目(○○○)と雲あり、百八十匁お以て斤とす、地黄当帰等、此斤お用いる也、凡九六量大一斤の目なり、是穂井田忠友の目擊せしと雲、法隆寺東大寺等の、古器の斤両と符合す、大和と雲は日本(やまと)と雲義にて、百六十匁お唐目と雲に対へし名ならんか、山椒は六十匁お一斤とすと雲へば、こは大和目の小斤の名残なるべし、自余二百銭お一斤とするあり、之お口目(○○)と雲、又二百十匁お一斤とするあり、之お沈香目(○○○)と雲、又 二百三十銭お一斤とするあり、之お白目(○○)、又輪目(○○)と雲、薬舗にて専ら之お用いる也、又二百五十銭お一斤とするあり、之お山目(○○)と雲、諸国より大坂に輸送する薬品の類、多くこれお用いるなり、紅花は百匁お一斤とし、五倍子は百三十匁お一斤とす、木綿に平野目(○○○)、煙草砂糖に、大坂西国備後等の目(○○○○○○○○○)あり、茶に宇治目(○○○)〈二百目斤也〉山目里目(○○○○)等あり、此外も猶多かるべし、其異同の来由もあるべけれど、畢竟商売の私に称するものは、徴とはしがたし、〈今漢土産物おはかるに、四銭お一両とし、白銀は四匁三分お一両とす。〉