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経済録
四律暦
日本の古の秤は、如何なる制なりしと雲こと詳ならず、当代は京都と東都と両処に官局お立て、京都は神氏、東都は守随氏に命じて大小の秤お作らしめる、東国は守随の秤お用ひ、西国は神氏の秤お用ふ、民間にて私に秤お作ることお許さず、秤お作ることお得ざるのみならず、秤の少にても損じたるお私に修補することおも許さず、又神氏の秤お東国にて用ひ、守随氏の秤お西国に用ることおも許さず、若此法お犯すものあれば、両局の徒、見つくるに随て、其秤お奪取て、衡お折て棄る、是国家の法令にて、制禁甚厳なり、度量衡の三つの中にて、隻此法のみ至て厳密なり、秤は微細なる物にて姦おなしやすき故なるべし、誠に謹【K二】権量お【K一】とのたまへる孔子の聖語に合て、目出度法令なり、