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神皇正統記
神代
其時諸神の上首にて、高皇産霊尊といふ神まし〳〵き、〈◯中略〉此神天のやすかはの辺にして、八百万の神お集へて相議給ふ、其御子に思兼と雲神のたばかりによりて、石凝姥と雲神おして、日神の御形の鏡お鋳せしむ、其はじめ鋳たりし鏡、諸神の心にあはず、〈是は紀伊国日前の神にます、〉次に鋳給へる鏡うるはしくまし〳〵ければ、諸神悦あがめ給ふ、〈初は皇居にまし〳〵き、今は伊勢五十鈴の宮にいつかれ給ふ、是なり、〉又天の明玉の神おして八坂瓊玉おつくらしめ、天の日鷲神おして青幣白幣おつくらしめ、手置帆負、彦狭知の二神おして、大峡小峡の木お切て、瑞の殿おつくらしむ、