[p.0073]
神皇正統記
村上
天徳年中にや、はじめて内裏に炎上ありて、内侍所もやけにしが、神鏡は灰の中より出し奉る、円規損ずる事なくして分明にあらはれ出給へり、みたてまつる人、驚感せずといふ事なしとぞ御記にみえ侍る、此時に神鏡の、南殿の桜にかヽらせ給ひけるお、小野宮実頼の大臣、袖にうけられたりと申事あれど、ひが事おなん雲伝へ侍るなる、