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平治物語

光頼卿参内并清盛自熊野路帰洛事去程に、内裏には同十九日、〈◯平治元年十二月〉公卿僉議とて催されけり、勧修寺左衛門督光頼卿、〈◯中略〉荒海障子の北、萩の戸の辺に、弟の別当惟方のおはしましけるお招寄、〈◯中略〉さて主上〈◯二条〉何くにおはしますぞ、黒戸御所に、上皇は、一本御書所に、内侍所(○○○)〈◯神鏡〉は、温明殿に、劔璽(○○)は何くに、夜のおとヾにと、左衛門督次第に尋給ければ、別当角ぞ答られける、