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増鏡
十七月草の花
都には伯耆よりの還御とて、世の中ひしめく、まづ東寺へいらせ給て事ども定めらる、二条の前のおとヾ道平めしありて参り給へり、こたみ内裏へいらせ給べき儀、重祚などにてあるべけれども、璽の箱(○○○)お御身にそへられたれば、たヾとほき行幸の還御のしきにてあるべきよしさだめらる、〈◯中略〉六月六日、東寺よりつねの行幸のさまにて、内裏へぞいらせ給ける、めでたしとも詞なし、