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続神皇正統記
後花園
康正二年、一条東洞院御所より、新造内裏土御門殿に遷幸、其後神璽(○○)は、赤松以下の輩が良策にて、吉野の奥より長禄二年内裏に渡御、このたびも明徳〈◯後小松〉の例お守られ侍るとなり、三種(○○)の御事は、以前ところ〴〵にくはしく見え侍る、但寳劔(○○)は海底に威おかくし、神鏡は火中に形おあらはす、玉璽(○○)のみぞ神代よりすべてさはりもなく儼然と伝り侍る、今におきては三種兼備して、万代の御まもりもかひあるこヽちし侍る、一人慶あれば兆民頼之といへり、諸国も穏にして、天下お治給ふこと三十余年、文武天皇以後は、たぐひなき寳祚の延長にてぞまします、