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増鏡
四おりいる雲
その年〈◯正元元年〉の八月廿八日、春宮〈◯亀山〉十一にて御元服し給ふ、御諱恒仁ときこゆ、世中にやう〳〵ほのめき聞ゆる事あれば、御門〈◯後深草〉はあかず心ぼそうおぼされて、よいのまのしづかなる御物がたりのつひでに、内侍所の御はいの数おかぞへられければ(○○○○○○○○○○○○○○○○○○)、五千七十四日(○○○○○○)なりけるおうけたまはりて、弁の内侍、 千代といへば五かさねて七十にあまる日かずお神はわすれじ