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附昼御座御剣、
昼御座御剣は、常に清凉殿に在り、御譲位の前に、摂関に付し、之お新帝に進るお例とし、行幸には之に従ふ、此御剣歴代の間、しばしば其所在お失ひし事あり、白河天皇の造らしめ給ひしものは、崇徳天皇の天承の初に失ひ、後冷泉天皇の御物お以て之に代ふ、安徳天皇の時、寳剣西海に沈没せしかば、後鳥羽天皇の時には、昼御座御剣お以て寳剣とし、三種の神器の其一に備はりしが、程なく又伊勢の神剣に引き替へらる、此後も昼御座御剣は、数度盗難に遭ひし事あり、応永九年、征夷大将軍足利義満が進りしより以来、此御剣の事、復た物に見えず、