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安斎随筆
前十三
称御辞 御の字は、天子の事に雲ふ詞なり、されども毎事毎物、悉く御と雲ふにあらず、国史令式等に、御お雲ふ事希にあり、中古以来、天子は勿論、貴人には毎事毎物、悉く御と雲ふ、御の詞喧く聞ゆ、今に至ては賤しき我〻とても、相互に御字お付て雲ふ事になれり、其本は御宇、御製、崩御などの類、天子の事に称する詞なり、