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続日本後紀
十九仁明
嘉祥二年三月庚辰、興福寺大法師等、為奉賀天皇寳算満于四十、奉造聖像四十軀、〈◯中略〉副之長歌奉献、其長歌詞曰、〈◯中略〉我国之聖〈乃〉皇〈波〉、尊〈毛〉御坐〈加、◯中略〉毎皇〈爾〉現人神(○○○)〈止〉、成給御坐〈世波、◯下略〉
◯按ずるに、現人神は字の如く、古代に在ては、天皇に限れる尊称なりしに、後には転じて専ら神お雲ふことヽなれり、万葉集巻第六、天平十年、石上乙麻呂配土左国之時歌に、繫巻裳湯湯石恐石(かけまくもゆゆしかしこし)、住吉乃荒人神(すみのえのあらひとがみ)、船舳爾牛吐賜(ふなのへにうしはきたまひ)とある是なり、