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増鏡
十二浦千鳥
八月〈◯徳治三年〉のはじめつかたより、内のうへ〈◯後二条、中略、〉廿三日御気色かはるとて、世のひヾきいはんかたなく、馬車はしりちがひ、所もなきまで人々はまいりこみたれどいとかひなく、廿五日ねの時ばかりにはてさせ給ひぬ、火のきえぬるさまにて、かきくれたる雲のうへのしぎ、いはずともおしはかられなん、〈◯中略〉東宮〈◯花園〉は正親町殿へ行啓なりて剣璽わたさる、八月廿六日、践祚なり、十二にぞならせ給ふ、