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厳有院殿御実記

承応三年十月五日、高家品川内膳正高如、寺社奉行松平出雲守勝隆、上洛の暇給ふ、これも大喪の御事によてなり、かつ先帝〈◯後光明〉の儲君御幼稚によて、花町宮おもて践祚あらまほしきむね、仙洞の密旨あるおもてなり、 十五日、〈◯中略〉此十一日花町の宮継体親王の宣下ありし旨注進あり、 十六日、〈◯中略〉高家今川刑部大輔直房は、花町宮〈後西院御事〉親王宣下の賀使命ぜられ暇給ふ、 十七日、〈◯中略〉今川刑部大輔直房こたび上洛するによて、花町宮に銀三百枚、小袖二十、仙洞に銀三百枚、綿二百把、新院に銀二百枚、綿二百把、女院に銀二百枚、綿百把、女三宮、女五宮に銀五十枚、花町宮北方に銀五十枚、繻珍十巻進らせられ、二条関白光平公に銀五十枚、両伝奏に大刀馬代金一枚づヽ、あぜち、右衛門佐の局へ銀二十枚づヽ、長橋局へ銀三十枚たまふ、