[p.0303]
水鏡
上飯豊
つぎのみかど飯豊天皇と申き、これは女帝におはします、履中天皇のみこに、押羽皇子と申て、黒媛の御はらに王子おはしき、その御むすめなり、御母第媛なり、甲子のとし二月に位につき給ふ、御とし四十五、このみかどの御おとヽふたり、かたみに位おゆづりてつき給はざりしほどに、御いもうとお位につけたてまつり給へりしなり、さて程なく其年のうち、十一月にうせ給ひしかば、此みかどおば系図などにもいれたてまつらぬとかやぞうけたまはる、されども日本紀にはいれたてまつりて侍るなれば、次第お申侍るなり、