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代始和抄
御即位事
擬侍従の事は、上卿例文硯等おめして、参議おしてこれお書しむ、侍従といふは、天子の左右に侍て、拾遺補闕おつかさどるの職也、もとよりその職ありといへども、即位の時は、その一日しかるべき人おえらびて、その代とするによりて擬侍従とは名付るなり、左右におの〳〵二人あり、一人は三位、一人は四位の人お用ふ、或は親王おもて、三位の侍従に用ふる事も有しなり、又左右少納言各一人、宣命の使一人、中納言お用ふ、典儀一人、少納言お用ふ、これらは皆擬侍従のさだめ文にのする物なり、又礼服の公卿の人数は、職事一紙にしるして大臣にくだす、大臣外記に仰て、その人々につげめぐらさしむ、此外大将代、褰帳の女王典侍、威儀の命婦などいふ事ども兼てより定め仰らるヽ也、