御即位次第抄

御即位冠服之事
内弁以下文官冠服〈此者宣命使版に著て制旨お読むなり〉
内弁、外弁、親王代、擬侍従、少納言代、宣命使、典儀等各冠服同様、玉冠、大袖、小袖、裳、長綬、短綬、玉佩、牙笏、下襲、表袴、赤大口、錦襪、三山冠、〈又烏帽と雲、〉　裳、〈長二尺、幅上三尺三寸、下一丈一寸、襞十九、大四寸五分、小一寸、中之紐三尺、紐長八尺九寸、幅二寸二分、〉下帯、短綬、大袖、〈長二尺八寸五分、径二尺六寸、身幅一尺三寸、袖幅一尺三寸、袖下二尺五寸、但内弁、親王代、少納言代紫色、典儀赤色也、宣命使萌黄金の鉸有、擬侍従同色、外弁紫色萌黄色交へ服す、但し位に依て色目の差有歟可尋之、〉　小袖〈径三尺二寸七分、身幅一尺三寸、長二尺九寸、袖幅一尺九寸五分、袖下一尺、〉　長綬、玉佩、扇、牙笏、烏皮沓、襪、
図書主殿冠服
三山冠、白き平絹之服、青裳、白袴、浅沓、
賛者は図書主殿の冠服に等し、一人は三山冠に赤袍、黒裳、薄緑の摺、表袴、浅沓おはけり、一人は青袍お著、其余人上に同じ、大旨其容類する故略之、
大将代冠服〈赤袍、裳、劔、肩当、裲襠、武礼冠、〉
大将代冠服〈武礼冠也、五山冠と雲へり、紫綸子にして其めくりに金銅の金物、花唐草等也、其上に四角なる縷お、左右項の後黒色羅お以て是おはり、前の隅の左右に、鳥の羽三枚宛おさす、山雉の羽に似たり、〉裲襠、肩当、〈赤色えり五寸五分、紐五寸、横二尺、立一尺四寸五分、〉世比衣、
近衛次将冠服〈横二寸三分、立のひらみ迄一尺三寸八分、紐五寸、径九寸、同下の横一尺九寸九分、〉　掛甲、表綾葛唐草、裏白綾、
近衛次将冠服全体之事
　冠、纓、闕腋之袍、掛甲、白袴、靴、螺鈿之劔、平緒、弓箭、
摂政冠服〈尋常之束帯歟〉
中将代、少将代、
　老掛、巻纓、闕腋、弓箭等如尋常歟、行事弁
　執翳の女孺に相副て事お行ふの職歟、此冠服武礼冠、裲襠等大将代の冠服に同く見ゆ、但佩劔、
内記局　外記、〈冠、赤袍、如尋常、〉大史、〈同断〉
中務　内蔵　大舎人　大蔵　掃部　兵庫頭〈赤袍、劔お帯如尋常、〉
佐伯　蔵人頭　職事
右之外委細追て加之
劔璽内侍二人　褰帳女王　同典侍　威儀命婦人
　是等は五つ衣、唐衣、裳袴お服する歟、何れも檜扇お以て面お蔽ふ、
執翳女孺六人
右之服冠等、臣下の服は高倉家よりこれお調進して、御規式畢りて後、右之御冠服其家にこれお預らる、〈◯節略〉