[p.0330][p.0331]
代始和抄
御即位事
礼服御覧の事は、当日に天皇の著御し給ふべき袞冕十二章の御服お天覧ある事也、幼主の時は、摂政の直廬にして叙位以下の事おも取行ふなり、袞といふは袞竜の文なり、冕といふは御冠の名なり、十二章といふは、日月星晨山竜華虫宗彝藻火粉米黼黻已上十二の文お織る衣裳也、但赤衣に、日と月と星と竜とお大袖の繡にせられて、十二おこと〴〵く文とせざるにや、竜の首のまがれるに依て袞竜といふ、袞は巻たる心なり、白綬と玉佩と二琉あり、童体の御時は、日形の天冠お著し給ふ、昔は毎年正月朔日の朝賀御即位の日に替る事なし、