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浚明院殿御実記

宝暦十三年十月、この月仰下されしは、こたび御即位〈◯後桜町〉あるによて、諸大名より京へ使進らする事は、来る十一月十九日まで赴かしむべし、使臣着到の上不日に其事つかふまつる事もあるべければ、捧げ物等其こヽろすべし、服産穢の輩たり共憚りなくたてまつるべし、又御即位によて禁裏女院おはじめ、親王准后にも物進らするとき、摂政殿伝奏衆、并に長橋局其外にも贈遺なりしか、各家の旧例お注記してきこえ上べし、猶贈遺せざる家は、その趣お記し出すべし、各邸の使臣禁中においてつかふまつるさまは、参著の後に令せらるべしとなり、十一月四日、御即位お賀せられ進献し給ふ、信国の御大刀おはじめ、かた〴〵にまいらせ給ふ品共お、御使酒井雅楽頭忠恭にさづけらる、 十二月十三日、けふ御即位ありしおもて、高家中条大和守信復して、日門随門お賀せらる、