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神皇正統記
仲恭
廃帝諱は懐成、〈◯中略〉承久三年春のころより、上皇〈◯後鳥羽〉おぼしめしたつことありければ、俄に譲国したまふ、順徳御身おかろめて合戦のことおもひとつ御こヽろにせさせたまはん御はかりごとにや、新主〈◯仲恭〉に譲位ありしかど、即位登壇までもなくて軍やぶれしかば、外舅摂政道家の大臣の九条の第へのがれさせたまふ、三種の神器おば閑院の内裏にすておかれにき、譲位のヽち七十七け日の間、しばらく神器おつたへたまひしかども、日嗣にはくはへたてまつらず、飯豊の天皇の例になぞらへ申すべきにこそ、