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台徳院殿御実記

慶長十六年三月十八日、広橋大納言兼勝卿、勧修寺中納言光豊卿勅使として伏見城に参向あり、大御所〈◯徳川家康〉はる〴〵御上洛有しお労せらる、こたび御譲位、御受禅、御即位等の大儀ましませば、その事沙汰つかふまつらむため、江戸将軍名代として上洛つかふまつらせ給ふよし答へ給ふ、 四月十二日、京にて即位〈◯後水尾〉の大礼行はる、大御所裹頭にてうち〳〵御覧じ給ふ、一乗院門跡尊勢、日野大納言入道唯心等侍座す、よて他人此礼拝覧する事おゆるされず、大礼はてヽ勧修寺中納言光豊卿の亭に渡御有て、御装束お改め給ひ、御参内有て賀したまふ、義直、頼宣両宰相もしたがひ参らせらる、〈◯節略〉