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友俊記
延享四のとし五月二日、〈◯中略〉今上〈◯桜町〉御譲位、新主〈◯桃園〉七歳にならせたまふ、此日刻限、大臣〈内前公〉仗座につきたまひ、官人おして軾おしかしむ、外記お召して諸司の具否おとはれ、つぎに弁お召て御輿の御さうぞくの事お仰せて起座、天皇南殿に出御、剣璽の内侍左右に候じ、近衛陣おひく、左右大将中少将の次将階下にたつ、陰陽反閉して闈司の奏、次に主鈴印の辛櫃おかき出す、少納言鈴お奏す、中務版位お撤す、次に御輿およす、上達部次将階下に離列、主殿寮御座の覆お撤す、掃部寮筵道おしく、上臈次将すヽんで戸おひらき、御剣お御輿に入てしぞく、天皇駕御、大将警おせうす、次将すヽんで璽のはこお御輿にうつし、戸お閉てしぞく、公卿離列、前お先とす、御輿出御、大将御綱お仰、月花門お経て、右衛門陣代より出たまひて、諸臣前後に供奉、御輿桜町殿中門に入らせたまひ、殿の階上に安じ奉る、これより先に公卿庭中に列立、〈東上北面〉左右大将および次将階下分立、上臈次将進で戸おひらき、御剣おとり内侍にさづけてしぞく、天皇下御、大将蹕お称す、次将すヽんで璽筥おとりて内侍にさづく、戸お閉て退去、大将上達部次将、公卿くはヽり列に、中つかさ版位おおく、少納言鈴奏、主鈴印櫃お舁て、便宜の所におく、供奉の行列厳重に列せり、