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御湯殿の上の日記
天正十四年十一月七日、御じやうい〈◯正親町〉あり、おとこたちのこらずしこう、女中ものこらず御ともなり、てんきよくてめでたし〳〵、御てんのうへにつる五はまふ、みな〳〵御らんずる、しんわうの御かた、〈◯後陽成〉こよひより御所にならしまし、くわんはく殿より御しやうぞく、なつのはう、ふゆのはう、御なたヽいの御ふく参る、御ふくも十かさね参るめでたし〳〵、しこうのおとこたちみな〳〵御れい御申めでたし〳〵、 八日、くわんはく殿より、みづしのたなにかいのたな、御ちやのゆだな、文ばこ三つ、ふでばこ一つ、すみとり、すみあるじきろう一つ、ちいさきじきろう一つい、御はんざうつのだらい三つ、ぢんの御こきやうそく、うちみだれのはこ、たんざくばこ、この御だうぐ色々参る、めでたし〳〵、御代はじめの御れい、ない〳〵御たちきんふくりんにて御れい申さるヽ、 九日、くわんはくしよ大夫、木下はんざへもん、日ねのはんざへもん、一そくまき物にて御れい申、くわんじゆ寺中山日ろう、花山院殿より三色三が参る、 十日、いんの御所二位殿より三色三が参る、同上らう一位殿よりみのがけ一そく参る、頭中将まつの木じヾう、きんふくりんにて御れい申さるヽ、こが殿より五色五か参る、さいおん寺より三色三が参る、十一日、いんの御所上らうごん大納言そちどの、はりまどのより御たる参る、どんげいん殿よりも三色三が参る、きくてい殿より三色三が参る、三でう大なごんより三色三が参る、〈◯節略〉