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栄花物語
二花山
かヽるほどに年号もかはりて永観元年といふ、うへ〈◯円融〉今はいかでおりなんとのみおぼさるヽうちに、御ものヽけもおそろしうしげうおこらせ給ふにも、冷泉院はなほ例の御心はすくなくて、あさましくてのみすぐさせ給ふに、はかなくて永観二年になりぬ、ことしだにかならずとおぼしめして、人しれずさるべきやうにおぼしめさるべし、かくて八月になりぬれば、廿七日御譲位とてのヽしる、その日になりぬれば、みかどおりさせ給ぬ、東宮〈◯花山〉は位につかせ給ぬ、〈◯節略〉