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神皇正統記
後醍醐
さても八月の十日あまり六日〈◯延元四年〉にや、秋霧におかされさせ給ひて、かくれまし〳〵ぬとぞ聞えし、〈◯中略〉かねて時おもさとらしめ給ふにや、前の夜より親王〈◯後村上〉おば左大臣〈◯藤原経忠〉の第へうつしたてまつられて、三種の神器おつたへ申さる、後の号おば仰のまヽにて、後醍醐の天皇と申す、