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続世継
一子日
同じき九年〈◯長元〉やよひの十日あまりのほどより、うへ〈◯後一条〉の御なやみときこえさせ給ひて、神々にみてぐら奉らせ給へる、さまざまの御いのりきこえ侍りき、殿上人御つかひにて、左右の御むまなどひかれ侍りけり、御年みそぢにだに今ひとつたらせ給はぬいとあたらし、されど廿年たもたせ給ふ、末の世にありがたくきこえさせ給ひき、まだおはしますありさまにて、御おとうとの東宮〈◯後朱雀〉に位ゆづり申させ給ふさまなりけり、後の御事よそほしかるべきによりて、位おりさせたまふ心なるべし、