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増鏡
一おどろの下
建久九年正月第一の御子〈土御門院〉四になり給に、御くらいゆづり申させ給ておりい給ふ、〈◯後鳥羽〉位におはします事十五年なりき、けふあすはたちばかりの御よはひにて、いとまだしかるべき御事なれども、よろづ所せき御ありさまよりは、中々やすらかに、御幸など御心のままならんとにや、世おしろしめすことは、いまもかはらねばいとめでたし、