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続世継
二八重の潮路
もとの女院ふたところ〈◯鳥羽后待賢門院璋子、高陽院泰子、〉も、かた〴〵にかろからぬさまにおはしますに、いまの女院〈◯鳥羽后美福門院得子〉ときめかせ給て、このえのみかどうみたてまつらせ給へる、東宮にたてまつりて、位ゆづりたてまつらせ給、その日たつの時より、かんだちめさま〴〵のつかさ〴〵まいりあつまるに、内〈◯崇徳〉より院〈◯鳥羽〉にたび〴〵御つかひありて、蔵人の中務少輔〈◯藤原師能〉とかいふ人かはる〴〵まいり、又六位の蔵人御書さヽげつヽまいる程に、日くれがたにぞ神璽寳剣など、春宮〈◯近衛〉の御所昭陽舎へ、かんだちめひきつヾきてわたり給ける、〈◯中略〉いまのうち〈◯近衛〉には、職事殿上人などおほせくだされ、あるべきことヾもありて、新院〈◯崇徳〉は九日ぞ三条西洞院へわたらせ給、太上天皇の御尊号たてまつらせ給、