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六代勝事記
阿波院天皇〈◯土御門〉は、隠岐院第一の子、〈◯中略〉在位十二年のあひだ、天地変異なく、雨降時おあやまたず、国おさまり民ゆたかなり、太上天皇〈◯後鳥羽〉威徳自在の楽にほこりて、万方の撫育お忘れ給ひ、又近臣寵女の諫つよくして、四海の清濁おわかざるゆえに、今上陛下〈◯土御門〉帝運いまだきはまり給はざるおおろし奉り、茅洞の風秋冷しく、茨山の月影さびしかりき、